2009/12/13
苦労を乗越えた人は、
その苦労を楽しむ事が出来る
作家の佐藤愛子さんの自身の話しに、こんな話しがあります。(以降、登場者名は敬称略)
父親から、かわいい、賢いと溺愛され、何一つ不自由ない生活を送っていて、20歳の時見合い結婚した。翌年男の子を産むが、戦後、夫が麻薬中毒に罹り、入退院を繰り返す。彼女自身も疲れ果ててしまう。夫とは離婚。
30歳の時、難解な小説を書く二人目の夫と再婚する。
夫の父の遺産でしばらく取り崩して暮らしていたが、やがて底を突き、生活は火の車。今度は株で大損した。
夫が事業を起こし、倒産。2億円という巨額な負債が残った。もう唖然とするばかり・・・。毎日債権者は押しかけてくる・・・。
そんな経験を元に書いた『戦いすんで日が暮れて』で、佐藤愛子は直木賞を受賞した。
受賞をしても、まだ借金との戦いは続いていた頃、松下幸之助と対談をする機会があった。
松下幸之助に、佐藤は自分のこれまでの借金の苦労話しをした。すると幸之助は、
「佐藤さん、それは愉快な人生ですなァ。実に愉快だ」、と感想を述べたという。それに対し佐藤は、
「私はムッとし、なにをこのじいさん、カネモチのものだから、勝手な事をいう、と思ったものだった」、と述べている。
しかし後になって、「さすが大松下」と言う。40年近く経ってみると、自分でも「ああ、愉快な人生だったなァ」と思ったからである。そう語っている。
この二人のやり取り、どう思いますか。
これは二人とも、苦労をもういい、というほどして乗越えて来た人だから言える言葉です。
そして、佐藤愛子は、自らの経験を書いた『戦いすんで日が暮れて』で、直木賞を受賞した。
これは、どん底の苦労が、頂上まで飛躍する材料になったのですから、愉快な話しじゃないですか。
それまでが悲惨な人生であっても、ハッピーエンドは愉快な人生なのです。
どんなに寒い凍えそうな冬を体験しても、最後に暖かい風呂に浸かったら、全てが癒される。幸福になれる。
むしろ、苦労した人の方が、後の幸福感は大きいのです。
今つらいあなた(そうでない人も)、ハッピーエンドのシナリオを描いていますか?