2015/9/19
私が一番好きな虫の音を、うるさいと思う人がいるんだ
今夏、新宿中央公園傍で、セミの声に遭遇する
今年の8月の事でした。
私が新宿の街をタクシーで走っていた時、新宿中央公園の木々が生い茂る傍に差し掛かりました。
すると、私の一番好きな音<セミの鳴き声>が、森中から聞こえて来ました。
私は乗っているタクシーの後部席の窓を開け、セミの声を直接聞きました。
私は感動して、思わず、
「セミが鳴いていますね」
と、60代ぐらいの男性運転手に言いました。
その後の言葉「感動しますね~」 という言葉は、あえて言わずに。
思いがけない言葉が・・・
すると驚いたことに、その運転手はただ一言、
「うるさいですね」
と、私に共感を求めるように言ったのでした。
その言葉から、「セミは、本当うるさくて参っちゃいますよ。この暑いのに」
というニュアンスが、ありありと感じられました。
私は、それっきり、この運転手との会話は閉ざしました。
セミの声に陶酔する
私は昆虫が大好きで、子供の頃に虫取りで夏山や林に入ると、割れんばかりのセミの声で、幸せに陶酔していたものでした。
今でも私は、セミの声が懐かしくなると、何処からともなく聞こえてくるスプリンクラーの音(セミの声に似ている)を、セミの声に見立てて想像し、子供の頃の思い出に浸り、酔いしれているほどです。
それなのに、正反対の感想を持っている人がいるなんて・・・。
でも、何人かの人にセミの声の感想を聞いてみると、意外に、
「うるさいと思います」
という人がいた。
日本人は自然を愛でる
動物行動学研究科の竹内久美子さんは、セミや虫の音について、
「日本人は花鳥風月を歌や俳句に詠み、絵画に表すなど、自然を愛でる事にかけては世界でも指折りと言える。
江戸時代後期には、スズムシ、マツムシ、ヒグラシ、キリギリスなぞ、主に心地良い音を聴かせる昆虫を売る商売(虫売り)があった。
・・・・・・・・中略・・・・・・・・
日本人と西洋人の、虫の音を聞く感覚に違いがある?
日本人がそうまでして虫の音を聞きたがるのは、自然音に対する脳の捉え方が独特だからという説がある。
東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信さんによると、日本人は母音を言語脳(左脳)で処理し、虫の音などの自然音も母音に似ているので言語脳で処理する。
その結果、虫の音が言葉のように意味を持つものとして捉えられるという。
片や西洋人は、自然音を音楽脳(右脳)で処理するので、雑音としか聞こえなかったりするというのである。
(この点は中国人、韓国人なども同様だという)。
そうであれば、日本人が虫の音を特別なものとして楽しみ、歌や俳句に詠んで喜びや悲しみの表現と結びつけるのも頷けるのだ。
(週刊新潮 2015年9月24日号より)
セミの声から想像する世界やイメージが、決め手
という事ですが、西洋人ならともかく、日本人にも「セミの声が大好き派」と、「セミの声がうるさい派」があるので、それだけではないでしょう。
やはり、そのセミの声から連想する世界やイメージが、決め手になるのではないかと思います。
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