2012/03/12
出来る人ばかりじゃ、行き詰る。
いろんな人が居るから、上手くいく

経営の神様と言われた松下幸之助さんは、こんな言葉を残している。

 「非常に働きのある立派な仕事をする部下も大事やけども、働きは何もないが、ぐちだけを上手く聞いてくれる人、そういう人も非常に大事だということをつくづく感じたことが何ベんもあります。
 私が今日あるのも、私の話し相手に比較的うまく聞いてくれる人が多かったからです。」

(『勇気がわいてくる世界の名言』 より)

 老子の言葉に、こんな話がある。

 埴(しょく)をうちて以(もつ)て器(うつわ)を為(つく)る。其の無に当たりて、器の用有り。

 戸?(こゆう)を鑿(うが)ちて以て室(しつ)を為(つく)る。其の無に当たりて、室の用有り。

 故に有の以て利と為すは、無の以て用を為せばなり。
(老子 十一章より)

 これは訳せば、

 粘土を固めて陶器を作る。その何もない陶器の空間によって、器に有用性が生まれる。
 戸口や窓の穴を開けて家を建てる。その何もない戸口や窓の空間によって、家の有用性が生まれる。

 だから(このように)形のある「有」が役立つのは、何もない「無」が働きをしているからである。

 という事になります。
 そうですね。コップに空間があるから、水を入れて飲む事ができるし、広い空間があるから、快適に生活できる。

 それを、空間がもったいないと埋めてしまったり、本棚や物を置いてぎっしり詰めたら、何も出来ない(役に立たない)部屋になります。

 こんな話もあります。

 ある会社の経営者が、売り上げが下がってきたので、優秀な成績の社員だけを残して、あまり売り上げに貢献していない社員を次々リストラしたのでした。

 残ったのは優秀な成績の者たちばかり。当然 会社の利益が急増すると思いきや、なんとその会社、半年も経たない内に、空中分解。倒産してしまったといいます。

 理由は、リストラした中に、余り仕事は出来ないけれど 話をよく聞いてくれていた年配のおじさんがいたり、仕事はそれほど出来る人ではないが いつも明るくお茶を入れてくれる女性がいたり・・・。

 そんな潤滑油役の人たちがいなくなったら、互いがギスギスし、会社が暗くなった。それが潰れた原因だった・・、と言われています。

 優秀な者たちばかりでは、良さが機能しない。
 遊びの部分が必要なんです。

 という事で今日は、「有」が役立つのは、「無」が大切な働きをしているから、というお話でした。

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