2016/3/27
「ボケる人」 の研究から見る、
喧嘩(けんか)しながらでも、パートナーの存在は必要!?

 ボケる人、ボケない人

 人は、長寿はいいですが、「自分がボケて長生きするのは嫌だ・・・」、という人は多いことでしょう。

 そこで今日は、ボケない方法のお話です。
 以下、長寿研究の第一人者、白澤卓二先生の著書 『ボケないのはどっち?』(あさ出版)からの抜粋です。

 本書は、書店でよく見る認知症関係の本ですから、既に、お読みになった方もあるでしょうね。

  独身の人、結婚している人、認知症になりやすいのはどっち?

 スウェーデンの医科大学のカロリンスカ研究所の クリスター・ホーカンソン博士が 2008年度のアルツハイマー病国際カンファレンス(会議)で発表したところによると、

 ・ずっと独身でいた人は結婚している人に比べて、認知症の発症リスクが 「2倍」 だったそうです。

 ・さらに 結婚後に離婚し、そのまま独身を続けた場合には 「3倍」、

 ・中年期に入る前に未亡人となり、そのまま独身を続けた場合には、発症リスクが 「6倍」 にものぼりました。

 この研究はフィンランドのデータベースから1449人を抽出して調べられたものです。
 中年の時の人間関係の状態に関して尋ね、その21年後に再び調査をおこないました。

 博士は、
 「パートナーのいる人々は認知症を発症する傾向が低い」
 「カップルの人間関係の中で生きる事は、通常、社会的で知的な刺激の最も強いライフスタイルであり、認知症予防につながる」

 との見解を示しています。

 パートナーの死別後に発症リスクが上がるという結果は、
 孤独を感じない状態を知っているからこそ、ひとりきりになってしまったことの影響が大きいということのようです。

 (『ボケないのはどっち?』〈白澤卓二著 あさ出版〉 より)

  ボケ防止には、適度な刺激が大切

 こう考えると、結婚して夫婦生活を営むことは、良くも悪くも、ポケという視点から言えば、脳にとっては適度な、いい刺激を受けてボケにくい状態、という事が分かります。

 ただし、人は孤独に見える状況でも、本人が孤独だと感じなければボケにくい、という研究結果もあります。

 この事から、人は、ずっと1人でいても 、1人になっても、孤独を感じないような人付き合いの場を作るなど、上手い生き方を工夫して、ボケない、適度な刺激のある人生を送ることが大切、という事が分かります。
 
  母のボケを直した、娘が行なったことは

 それでは最後に、以前、私が講演の為に岩手県盛岡市へ行った時に、駅から会場まで乗ったタクシーの女性運転手(50代)から、移動中に、次のような興味深い話を伺ったので、ご紹介します。

 その方は、高齢の母がボケてきたので、誰にも会わせないようにしていたら すっかりボケてしまったそうです。

 しかし、その女性は諦めなかった。

 <女性運転手が語る>
 「ボケてきているけど、どんどん母を人に会わせ、買い物にも行かせ、日常のチョッとした事も頼んでやってもらうなど、刺激のある日々に変えたのです。
 そしたら! 母はすっかりボケが回復して、元に戻ったんです」

 そう、おっしゃっていました。
 刺激や緊張する環境が、絶対必要、という事です。

  高齢者の家族に、刺激のある生活環境を

 今日のスウェーデンのクリスター・ホーカンソン博士の話を聞き、この女性運転手の話を聞くと、ボケの予防方法だけでなく、回復するには、脳に適度な刺激のある日常生活こそが大切だ、と分かります。

 高齢者が一人にされて、何もしないで、テレビばっかり見るようになったら、短期間でボケてきます。

 そしてもう一つ。人との会話をしない以外に、座ってばかりで筋肉を動かさないのも、脳に刺激が行かない生活習慣です。

 今日の話を参考に、ご家族などに心当たりのある人は、さっそく刺激のある生活環境を作ってあげて下さい。

  今からでも遅くはない

 早い時期の対処ほど、回復効果はあると思います。
 ボケてからすこし時間が経っている方にも、話し相手になるとか、食事に連れ出すなど、試してみてください。
 必ず、良い効果があるでしょう。

 この話が、皆様の参考になれば幸いです。
 

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