2012/09/22
最高のものに触れることで、
初めて正しいリテラシー
(識字、判別能力)が養われる

 ゲーテといえば、ドイツを代表する文豪です。

*ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
 (Johann Wolfgang von Goethe、1749年8月28日 – 1832年3月22日)はドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残した。

 そのゲーテの秘書として、ゲーテの74歳から82歳で死ぬまでの円熟期を共にし、その日々の出来事を書き表した秘書エッケルマンの著作に、『ゲーテとの対話』という本があります。

 エッケルマンは、毎日のゲーテとの人生や芸術についてのやり取りを、丁寧に書きとめていました。
 その中の、1824年(ゲーテ 75歳)2月26日付けに、こんな下りがあります。

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 「われわれは、それから紙ばさみを開いて銅版と絵との観察にとりかかった。ゲーテはその時いろいろと私に気をつけてくれた。そして、彼は私の美術の鑑賞眼を高めてやろうとしているようであった。彼はそれぞれの種類のなかで完全な作品だけを見せ、美術家の意向と価値とを説明してくれた。

 ・・・・・・『こういうぐあいにして』と、彼は今日いった。『趣味というものができあがる。なぜなら趣味は平凡なものを見ないで、もっともすぐれたものを見ることからのみ養われるからだ。それゆえ、私は君にただ最良のものだけを見せる。そして君がそういうものを土台にしたら、ほかのものに対する見分けもつき、買いかぶることもなく、正しく評価できるだろう』」

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 世の中は玉石混淆(ぎょくせきこんこう)です。
 人材、メディア、書籍、インターネットの書き込み、商品、どれも玉石混淆で、一人ひとり、目利きになる必要があります。

 リテラシーという言葉を、最近よく耳になさることがあると思います。もともとの意味は「識字能力」ですが、今はいろいろな分野で「リテラシーが必要だ」という使い方をされます。

 正しいリテラシーは、最高のものに触れる、最高のものを見ることで、養われます。
 優先順位をつけるなら、最高のものに触れることを一番にし、他は、そのあとにしましょう。

 皆さん、ニセモノには、ご注意を。


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