2015/8/4
忘れることの効用

  妻の言葉はよく忘れるのに、仕事は出来る男性の訳は

 以前、鑑定にいらっしゃったM夫人(50代)との会話の中で、こんなやり取りがありました。

 「先生、うちの主人は私の言った事を、よく忘れるんです。でも、仕事はできる人なので、不思議です」(M夫人)

 彼女のご主人は大学教授で、優秀な学者です。

 そこで私は、こう申し上げました。

 「これはご主人、なるべく仕事に関することで、たくさん記憶できるように、それ以外のことは自然に忘れて(排除して)いらっしゃるんですよ」

  脳の記憶の過程を例えると・・・

 というのは、脳のたとえ話で、こういうものがあります。

 「脳という1枚の白紙に、書きやすい所から書き込んでいき、そろそろ空白がなくなったら、消しゴムで不要な箇所を消し、更にその上から新しく書き込む・・・。
 記憶とは、そんな作業の繰り返しである。」
 (京都大学名誉教授/脳学者 大島清氏)

  脳の記憶の許容量は“無限大”ではないのか・・・

 ところで、脳の記憶の許容量は“無限大”のように思っている人は多いでしょうが、見たもの聞いたものを全部記憶していたら、それはさすがに満杯になるでしょう。

 例えば、千冊入っている本棚を見たら、その瞬間、千冊全てのタイトルを記憶している。
 (それぐらいの記憶力が、人にはあるといわれています)

 面接で100名に会って、全員の会話を全部覚えている・・・。そしてそんな日が続いたら、いずれ満杯になるのでは・・・そう思いませんか。

 また読んだ本や雑誌の記事の内容を、全部覚えていたら、どうでしょう。

 大事なトコロだけを覚えていて、あとの99%以上の重要度の低いものは、片っ端から忘れていいるのが現状です。
 それでいいのです。

  一流人は、新しい情報を入れるスペースを脳に確保する

 その為、仕事ができる人や一流人は、仕事以外のことは、忘れ上手です。

 仕事を優先し、仕事で成功する事だけ記憶していき、その他の情報は忘れていく。

 そして、新しい情報を覚えるのに十分なスペースを脳に確保しているんです。

  何でも覚えていたら、苦しすぎる~

 それから、人は何でもかんでも記憶していると大変な事になります。

 何故なら、辛いこと、悲しいこと、イヤなこと、恥ずかしいこと、苦しいこと、心配なこと、傷ついたこと etc….を全部覚えていたら、苦しくて生きて行けません。

 都合の悪いことや、イヤな記憶を、上手に忘れることが出来ることが、幸せになる必須条件です。

 ただし、痴呆症による記憶の喪失は問題です。
 これは病気ですから、ならないように、ご注意を。

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